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αアフター・アフター

ファンティアにて先行して公開していたリクエストSSをこちらでも公開させて頂きます。
Cさんよりリクエスト頂きました「αアフター」の後日談となります。
タイトルからお察しいただけますとおり、「イツワルセカイ。-Relight My Soul-」EXシナリオのネタバレを含みますのでご注意ください。

//ネタバレ防止のため下げますので、スクロールをお願い致します。

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――あの後、出張とやらから戻ってきたベルタリウスを、私は文字通りボコボコめこめこ八つ裂き一歩手前の状態とした。
奴も特に抵抗せずにそれを受け入れていたが、心身ともにダメージを負っている様子はなかった。
つまり私の暴力に、私の鬱憤を晴らす以外の効力はなかったのである。意味のある行為だったかといえば、少しスッキリはした程度。

「なんであんなことしたんですか」

治癒魔術を施し、ベッドの上にごろんと転ばせた奴に問う。

「あんなことって……両方つけたこと?」
「お前は本当に何も反省してねぇな」

私は私らしからぬ口調を使うぐらいに腹が立っており、ベルタリウスの腹にボスッと蹴りを喰らわせた。
全く、痛くなさそうだった。痛くても喜びそうだけど。

「あっそうだ、結局どっちの性別が良かったんだ。それとも両方のままが快適だったか?」
「人の質問に答えやがれよコノヤロウ。私の優柔不断に対する仕置にしてはやり過ぎだと思いますし、『やってみたかったから』などと答えたら次こそ命は有りませんよ」
「どっちも経験したら選びやすいのではないかと思ってな。あとは、お前とセックスしてみたかったから」
「――はっ?」
「そういうのって、好きなやつとするって言うじゃん。俺、好きなやつとはしたことないんだよなぁ」
「え、いやそれは私も同じ、です、けど……えっ……えっ……?」
「それってどんな気持ちになるのかな、と思って」

絶句した。
元々頭のネジが私より遥かに足りないのは知っていたものの、いつも新鮮味のある強襲をくれるものだ。

「いやちょっと待ってください、好きって言ってもですね、せ……は恋人として好きのアレでするものでして、家族とはせっ…………、と、とにかく、しないんですよ」

動揺のあまりに、言葉が乱れる。我ながら何ですか、「恋人として好きのアレでする」って。何語ですか。

「俺とお前って、家族なの?」
「違うと仰いますか。随分と薄情ですね」
「情はともかく、元々は『全くの別人』として生まれてきた訳だろう? それこそ、血の繋がりも何もない個人として」
「それは……まぁ……そう、ですね」
「母体が同じと言われりゃそうだけどさ。でも、人格的には他人じゃ――あっめんどくせぇ。もうこの話やめていい?」
「お前からし始めたンだろうが」

ぐりぃ、と腹を踏む。ケラケラ笑うベルタリウス。腹を押すと笑う人形ですか貴方は。

「……いつも、本当に発想がぶっ飛んだ人ですね」
「そういえばお前とはしたことなかったなと」
「『そういえば』でするモンじゃないですから……」

最早怒りを超え、脱力して諦念の域へと。

「好きなやつと気持ちのいいことをするって、すごく不安になりそうだがなぁ」
「ふ……ふあん?」
「気持ち良いだけって、俺は不安だわ。いつだって快楽は痛みとセットになってたし。今もそうだし。傷つけずに、傷つけられずに、そういうことしたら俺はどうなるんだろうか」
「……え、と……」

何も、言えなくなる。痛みを愛するのは彼が自分を守るために備えられた本能だ。
しかしそれと引き換えに、まともな「愛」というものがよく分からなくなってしまっているようだった。
分からないから、段階をすっ飛ばして奇抜な手段を取ろうとする。

「ま、嫌ならいいんだがな」
「嫌……というか……圧倒的に段階を踏むのが足りない、というか……」
「そういうの、よく分かんない。知らないから」

裏も表もなくニッコリ笑って言われて、何だか少し悲しい気持ちにさせられた。
「知らない」彼に教えなかったのは誰だったのだろうか。学ぶ機会を、もっとちゃんと与えてあげるべきではなかったのだろうか。

「と、ともかく、ですよ。今はもう元の体ですし、貴方とは、その、そういうこと……は……」
「元の体でもできるにはできるじゃん。あ、でもお前が気持ち良くないか。ニワトリ状態だもんな」
「きしゃーッ!!!!!!」

私は叫び、とうとうベルタリウスの鳩尾に踵を振り落とした。ベルタリウスはゲラゲラ笑う。この痛みすら愛しいとでも言いたげに。

「お前がするなって言うことは基本的にしないよ。いつだってそうして来ただろう、教祖様?」
「きょ、キョウソ?」
「そう。俺は唯一、お前が定める戒律だけは守ってんだろ」
「え、えぇまぁ……それは……概ねは……結構、間をすり抜けて好き勝手しているとは、思いますが……」
「そんぐらい許してくれや。両方つけるくらいたまにゃあいいもんだよ」
「ちっとも戒律守ってない気がするんですが」
「お前に×××とか×××をつけてはいけないとは言われてない」
「屁理屈ばっかりごねやがりますね全く」
「甘えてるのさ。オネエチャン」
「ヒィイ、さぼいぼがっ……やめてくださいよ、姉弟設定は飽くまで表向きのものなんですから」
「じゃあ、なんて呼ばれたいんだ」
「……いつも通りで良いですよ」
「じゃあ――『アルフィーネ』」

やたらと柔らかな声で呼ばれて、少しばかり心臓が跳ねた。珍しく、陽だまりの中で猫を撫でるかのような瞳をしているのも手伝って。

「――って、クレスくんに呼ばれたかったんだろう?」
「今はそんな話してませんっ……」
「嬉しそうだったくせに」

ニヤニヤと、ベルタリウスは意地悪く笑う。

「そうじゃ、ないです……『貴方が』そういう風な顔になってるのが、珍しいって思ったんです」
「ふぅん。呼んでほしけりゃ幾らでも、こんな風に呼ぶけどさ」
「……クレスくんっぽく、とかはもう全然考えないでください。私、貴方は貴方だって、ちゃんと思ってます」
「その割に、貴方貴方と名前を呼ばないもんだ」
「……『ベルタリウス』」
「うん」

にこー、と満足そうに微笑まれた。

「……二人で決めた名前……ですもん、ね」

だから、互いが呼び合うことでより、特別に感じられるのかもしれない。

「だなぁ。無駄に長くなったもんだが。悪かない」
「……はい」
「もうお仕置きは終わりかい、アルフィーネ?」
「……まぁ、一応。言っておきますが、二度目はないですからね」
「そうか、残念だ。お前用に嫌味なぐらい乳の大きな義体を用意していたというのに」
「いりませんっ!!!!」

ぽすぽすと今度は軽めに胸を叩くと、ベルタリウスはやはり嬉しそうに笑った。
何だか、じゃれ合っているような気持ちになる。
怒っていた筈なのに――と思いつつ、その軽やかに舞う笑い声にひどく心地良さを感じてしまうのだった。

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