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イツワルセカイ。1.5/エドガーアフター

※「イツワルセカイ。-Relight My Soul-」の後日談となりますので、ネタバレにご注意ください。また、シナリオテキスト形式での掲載となっております※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ジーク】≪おかえりエドガー。クレス亡きハーベルリークへ、ようこそ≫

――そんな風に呼び戻されたのが、今から数年前。

新設したクランの隊長を頼むと言われ、何が待ち受けているやらとハラハラしながら≪HOUND≫の会議室の扉を開いた。

そこに居たのは、なんとも俺の想像から外れる一名と一匹だった。

ぼろ布のような服を纏い、一心不乱にキーボードを叩く兎族の少女。そして、その足元で大人しく蹲る黒くて大きな犬。

【エドガー】「あぁ、ええと……このクランの隊長になった、エドガー=ダーヴィトだ。宜しく頼む

俺の声に、無感動そうな少女の瞳がこちらを見た。

もう何百回と見た、生気のない目。生きる意思を極限まで削がれたそれに、俺の裡からも色んなものを削がれていく気がする。

【???】「わんっ!」

一方で、犬の方は大変無邪気に飛びついてきた。尻尾をぶんぶん振り、まるで長い間離れていた主人を歓迎するかのようだ。

【エドガー】「お、おう。随分懐っこい犬だな……なぁ、名前は?」

少女に聞いたのだが、もう既にその意識はノートパソコンに移っていた。何をやっているのやら。

【エドガー】「こら」

軽めに、すこんと額を叩いた。丸まる赤い目。

【エドガー】「一応俺は上司なんだぞ。話くらいまともに聞いてくれ」

【???】「…………」

じとっとした目で見られるが、しかし、年下の教育は俺が昔から得意とするところだった。

【エドガー】「お嬢ちゃん、名前は?」

【ロル】「……ロル=ベルゴンツィ」

泡のように儚げな声だった。

【エドガー】「ロルな。俺と宜しくする気、あるか?」

【ロル】「それは……性交したいという意味……?」

あっ、頭痛い、おうちに帰りたい。でも俺にはもう帰るおうちなんてない。

【エドガー】「いいや、違う。仲間として協力していく気があるかどうかと聞いたんだ」

【ロル】「仲間……? 知らない単語……そして、ありえない単語……」

【エドガー】「ありえない、と来ましたか」

【ロル】「裏切るのも出し抜くのも……ひととして普通のこと……」

【エドガー】「そうだな。でもなぁ、裏切るにしろ出し抜くにしろ、一時は相手の信頼を勝ち得なきゃ上手くはできないんだぜ。お前は正直で良い子だなぁ」

赤い瞳が、しぱしぱと瞬く。珍しい生き物を見たかのような顔。

【エドガー】「そして、同時に愚かで繊細だよ。好ましくは思うけど」

ロルの表情が、不可思議から困惑に染まった。

【エドガー】「駆け引きの練習をするか、ロル。俺から信頼を勝ち得て、上手い事騙せるかどうかを」

【ロル】「……どうして……そんなこと……」

【エドガー】「俺を利用し、踏み台として上に登るか。このクランを気に入って、俺やこの犬と協調して仕事をし続けるか。全てはお前次第だ」

そう、お前にだって選択肢ぐらいはあるんだ。どれだけ遣る瀬無いことを経験してきていたって、どれだけ下に落とされたって。

――そして、この俺にだって、まだ他人に選択肢ぐらいは用意できるんだ。

【エドガー】「俺としては後者をお勧めしたいから、頑張ってお前を懐柔することにするよ」

【ロル】「…………」

何を言っているんだろう、この男は。雄弁に語るその瞳を見て、まだ全然空っぽなんかじゃないと希望を見つけた気持ちになる。

【エドガー】「まずはまともなお洋服でも買ってやるよ。俺はご機嫌取りが出来て、お前は欲しい服が手に入るんだ。――な、仲間って素晴らしいだろう?」

【ベルタリウス】「なぁエドガー。これはな、エドガーには絶対に言わないんで欲しいんだ。これを聞いたらあいつ、確実に胃を痛めるからな。そんなの俺は全く望んでないから。絶対に内緒だぞ

【エドガー】「お前は今日も頭がおかしいなぁ」

いい加減大陸共通語を覚えて欲しいが、ネイティヴベルタリウスンには難しいのだろう。

【ベルタリウス】「この前エドガーが必至こいて捕まえてきたスポンサー、ラスター社がな、裏では麻薬の密売に関与していたことがβくん調べで分かってしまったんだ」

//【ラスター社】新進気鋭の自動車メーカー。

【エドガー】「へえ、そう……って、ええっ」

【ベルタリウス】「エドガーのクソ甘くて青臭い『新生ベルゴンツィ通商機構』の理念に賛同していたわけじゃあなかったんだよなぁ。まぁ、散々悪行を働いてきたのに突然この地下都市を変えたいんです、クリーンなものにしたいんですって言われても……なぁ……」

【エドガー】「では、スポンサーとなった目的は……?」

【ベルタリウス】「地下復興を利用して、クズ根性の抜けるはずがない地下の住人に麻薬を売り捌くためだろうな」

【エドガー】「はー……そうか……」

【ベルタリウス】「お前も落ち込んでいるようだが、これを聞いたらエドガーはもっと落ち込んでしまうんだ。俺はそんなの嫌なんだよな……だからエドガーには絶対言わないようにしろよ? 男同士の約束だ……」

俺は、無言でベルタリウスの頭をパーンッと叩いた。

【ベルタリウス】「お前が暴力行為に容易に迎合するようになり、俺は悲しくなる一方だぞ」

【エドガー】「うぜぇ~……」

【ベルタリウス】「まぁ、それはさておきだ。どうするリーダー?」

【エドガー】「お前がその台詞を言う時は確実に俺を試している時だよなぁ……とりあえず、お前はどこからそれを知ったんだ?」

【ベルタリウス】「~それは昨日のことだった~」

【エドガー】「回想シーン展開すんな、簡潔にまとめろ」

【ベルタリウス】「昨日出会った青年が、バディーニ社の跡取り息子でな。何とかして蹴落とせと父に命じられた彼が、偶然に知ってしまったらしい」

【エドガー】「どうして出会ったばかりのお前にそんな情報を……」

【ベルタリウス】「おねえちゃんの下僕ことヨハンくんだからな、その青年は」

【エドガー】「アルフィーネさんの……下僕……?」

【ベルタリウス】「やっぱり回想シーン入れていい?」

【エドガー】「許可する」

【ベルタリウス】「よし」

【ヨハン】「もう誰でもいい! 美人そうなら誰でもいい! そこの黒髪ロングのお姉さん、俺とお付き合いしてくれませんか!?」

――と言って、俺の背中に声を掛けてきたのがヨハン青年であった。

振り返った瞬間、見事に顔が凍りついていた。

【ヨハン】「美人なお姉さんかと思ったら王子様みたいなイケメンだったでござる……」

【ベルタリウス】「大丈夫? 結婚する?」

【ヨハン】「いえ遠慮します。というかごめんなさい、あまりに綺麗な黒髪だったし酔っぱらってたので、つい……」

【ベルタリウス】「ちょうどヘッドパーツを変えたばかりだからな」

【ヨハン】「はい?」

【ベルタリウス】「いいや、何でも」

俺のちみちみとした成長に欠かせない定期的なパーツ交換で髪質も変わるんだよなぁ。少し気を付けるべきなのかもしれん。

【ヨハン】「っていうか、どっかで見たなぁお兄さんの顔……あ、ナンパ続けてる訳じゃないよ」

おやもしかして、俺が忘れろビームを注入したことを覚えているのかしらん。ならば二発目、えげつなくいっても構わんぞ。

【ヨハン】「んー……アルフィーネって名前の知り合い、いる?」

あ、そっちか。

【ベルタリウス】「実はあいつの百人いるうちのカレピの一人でな、という冗談はともかく。弟のベルタリウスです」

【ヨハン】「あ、そうか。似てるもんね、色々。弟の存在は聞いたことないけど」

それも当然、つい最近成立した弟だからな。

【ヨハン】「あ、俺ヨハン。アルフィーネさんの後輩。よろしくベルくん」

【ベルタリウス】「よろしくヨハンくん。いいカモになってね」

俺の発言に、ヨハンは自分が弱みを握られていることに気付いたらしい。

【ヨハン】「……後生なんだけどさ、ホント、後生なんだけどさ。アルフィーネさんにはこのこと、言わないでもらえるかな……?」

【ベルタリウス】「このこと。つまり、いやぁせめて避妊してって言ったのに聞き入れられなかったこと?」

【ヨハン】「何でも゛ずるから許じでぐだざい゛」

めんどくせぇと思いつつ、俺は財布の薄さを思い出した。渡りに船、カモネギ。

【ベルタリウス】「ヨハンくん、奢ってくれ。俺は今、とっても酒で喉を焼きたい気分なんだ」

 

【ベルタリウス】「俺コーラサワーのコーラ抜き」

【ヨハン】「結局何のサワーが飲みたいのベルくん……」

【ベルタリウス】「じゃあ、ハイになってないウーロン」

【ヨハン】「お酒飲みたいんじゃなかったの!?」

【ベルタリウス】「じゃあまぁ適当に。ヨハンくんと同じで」

【ヨハン】「えぇ~……じゃあもうホントに適当に頼むからね……?」

ヨハンはメニューを流し見した後に店員を捕まえ、ビールを二杯とつまみを頼んでいた。

【ベルタリウス】「ところで、何をそんなに捨て鉢になっていたんだヨハンくん」

【ヨハン】「えっ……? いやぁその、忙しくて彼女にも振られてその他色々って感じ……?」

【ベルタリウス】「死ぬほどつまんない。土下座して」

【ヨハン】「ベルくんはお姉さんにとてもよく似ているね……」

【ベルタリウス】「そうだろう? よく言われるんだ。特に胸が瓜二つ、ほらペッタンコ」

【ヨハン】「うん本当~俺のお胸もアルフィーネさんと双子のようだ~」

【ベルタリウス】「はははは!」

【ヨハン】「はははは!」

【ベルタリウス】「だって、お姉ちゃん。三つ子が出来たよ」

――ヨハンの真後ろに、今店に入ってきたばかりのアルフィーネが修羅の如き人相で立っていた。

 

【アルフィーネ】「全く何なんですか……? 昨日、ベルタリウスから珍しく奢ると言われたから来たのにヨハンがいるし……」

 

俺とヨハンの頭にたんこぶをこさえたのち、アルフィーネはカルーアミルクとやらを頼んだ。

【ベルタリウス】「ああ奢るとも、約束通りな。ほら、ちゃんと財布を調達してきたぞ」

【アルフィーネ】「元いたところに戻してきなさい」

【ヨハン】「俺の扱いはどちらにせよ人間以下なんですね」

【アルフィーネ】「っていうか……貴方たち知り合いだったんですか?」

【ベルタリウス】「ううん、さっきナンパされた」

【ヨハン】「平然と裏切ったよこの人!?」

【アルフィーネ】「あぁ~……そうなんですか~……へぇ~……」

【ヨハン】「露骨に目をそらさないでくださいよアルフィーネさん!!」

【ベルタリウス】「せめて避妊してって言ったんだけど……うう、早くもつわりが」

【アルフィーネ】「トイレでその子ども全部吐いてきたらどうですか」

【ヨハン】「どういう会話ですか。そして、俺との子どもはゲロですか」

【ベルタリウス】「いいや、この子は大切に育てる。親の老後の面倒を見るべきなんだと盲信するように洗脳教育を施し、それでいて素晴らしき巨悪に育てるんだ。そして俺が死ぬ時に『一杯食わせやがって、ぶっ殺してやる!』って思うようになってくれた瞬間に昇天出来たら感無量すぎる」

【アルフィーネ】「とても人の親にはしたくない男ナンバーワンです」

【ヨハン】「いやぁ……でも、こういうタイプこそ、いざ子ども持ったら親バカになったりするんじゃないんスかね……」

【ベルタリウス】「らめぇ、親バカになっちゃうぅ! お前の口座に俺の全財産入れさせてほしいのぉ! ひぎぃ、うちの子可愛すぎて死んじゃうよぉお……」

【アルフィーネ】「この弟、心の底からしんどい」

【ヨハン】「なんか悩みとかどうでも良くなってきました」

【アルフィーネ】「また彼女に振られたんですか? つまんないから土下座してください」

【ヨハン】「ホントそっくりだよこの姉弟は! それだけじゃないんです! ガチの悩みもあるんですよ!」

【ベルタリウス】「えっ……画面の中から新しい彼女が出てこない問題かな……それは深刻だ、いい精神科を紹介するぞ」

【ヨハン】「もうツッコミ疲れたぁ……」

【アルフィーネ】「ベルタリウス、お黙り。人の言葉を禁止します」

【ベルタリウス】「わん」

【アルフィーネ】「黙らせたので、どうぞ」

【ヨハン】「あの、もう突っ込みませんよ。本当に突っ込みません」

と、前置きしてからヨハン青年は、個室に移動することを提案してきた。よっぽどである。

店員に一声かけるだけで個室は直ぐに用意されたので、何か伝手があるらしい。

【ヨハン】「俺、新しくのし上がってきたメーカーの弱みを握れって、親父から常々言われてたんですよ」

【ベルタリウス】「わん?」

【アルフィーネ】「ヨハンは老舗の自動車メーカー・バディーニ社の跡取り息子なんですよ。大学は道楽みたいなもんです」

【ヨハン】「……。で、まぁ、地道に調査を重ねていたら……」

【アルフィーネ】「見ちゃったんですか、何か」

【ヨハン】「……納車する車の……中に……白い……粉が…………」

【ベルタリウス】「わんわん! わんわんわん!!」

【アルフィーネ】「ステイ! ベルタリウス、ステイ!」

【ヨハン】「どうしたらいいんですかねぇ……?」

【ベルタリウス】「わん」

【ヨハン】「そろそろ人語を話させてあげてください」

【アルフィーネ】「よし」

【ベルタリウス】「別に何も問題はないじゃないか。弱みを握ったのだから存分に活用するといい」

【ヨハン】「そんな度胸ないよぉ……まさか本当にこんなマジモンの弱みが見つかるなんて……」

【アルフィーネ】「こういうのは貴方の得意分野じゃないんですか?」

皮肉を込めて、アルフィーネが俺に視線を傾ける。

【ベルタリウス】「金にもならないことはしないつもりだが、質の良い暴力を愉しませて貰えるのなら一枚噛もう」

【ヨハン】「危険人物だ……ていうかベルくん、何をしてるの」

【ベルタリウス】「腐った世の一部を立て直したいと思っている、偽善者の部下」

【ヨハン】「意味が分からないよ」

【ベルタリウス】「まぁ……、話してもいいかな。金持ちみたいだし、あわよくばヨハンくんもうちの金づるになってくれるかも」

【ヨハン】「金づる前提でお話してくれるなんてベルくんはとっても親切だなぁ……」

そして、俺は掻い摘んで地下の事情と復興計画を進めている旨を話した。

【ヨハン】「割と、本当に善行だった」

【ベルタリウス】「だろう? だから人助けぐらいするさ。裏の流通業界についても詳しいから、たぶん力になれるんじゃないのかな」

【ヨハン】「そっか……ええと、その。ラスター社って、分かるかな?」

【ベルタリウス】「……おっ」

【アルフィーネ】「最近よく聞きますね。ベルタリウスは知ってますか?」

【ベルタリウス】「ヨハンくん」

【ヨハン】「なぁにベルくん」

【ベルタリウス】「お前は、最高のネギを持ったカモだなぁ」

【ベルタリウス】「っていう感じで」

【エドガー】「なげぇよ。お前が妊娠した下りとか死ぬほどどうでもいいわ」

【ベルタリウス】「忌子として蔑まれ、生まれた時からトイレに流される定めにあったとは悲しいよな……」

【エドガー】「いつまで引っ張るんだよお前のゲロの話を! で? ヨハンくんとその後どうなったんだ!」

【ベルタリウス】「事情を話して一晩煮込んだヨハンくんを別室に用意しました。ルド、案内してやれ」

【ルドルフ】「わんっ」

【エドガー】「何もしてないだろうな!? 煮込んだというのは比喩であって、本当にしてないだろうな!」

部屋に入ると、ヨハン青年がロルの膝で号泣していた。

【ロル】「よしよし……社会に疲れたのね……ママのお膝でたくさん泣いていいのよ……」

【ヨハン】「ママぁ――ッ!!!!」

【エドガー】「おい、何怪しい接待させてんだ」

【ベルタリウス】「メンタルセラピーと言え。現代人に必要なのはこういう癒しなんだ」

【エドガー】「あーうん……ええと……ヨハン、くん?」

俺が声を掛けると、わんわん泣いていたヨハン青年の肩が跳ねた。

【ヨハン】「あっ……どうも……」

【エドガー】「どうも……」

【ヨハン】「お、お邪魔してます……」

【エドガー】「いえこちらこそ、ろくなおもてなしも出来ませんで……」

【ロル】「ぎく……しゃく……」

【ベルタリウス】「友人を装う間男と、間男にまで気を遣う夫のようだ」

【エドガー】「どういう形容だ。あぁ、えっと。ベルタリウスの上司のエドガーです。おおよその話は聞かせて頂きました」

【ヨハン】「あっ、はい。こっちもベルくんから聞きました。スポンサーがラスター社で、大変なんですよね」

【エドガー】「えぇ。お互い利害が一致するようであれば、協力体制を取らせて頂ければと思います。いかがでしょうか」

【ヨハン】「はい。俺一人じゃちょっと、手に余るんで……もしそうして頂けるのであれば、有難いです」

【ロル】「一人って……どうして? 他に相談できるひと……いないの?」

【ヨハン】「親父の耳に入ったら、鬼の首を取ったかのような騒ぎになると思うんです。ほら見たことか悪い奴じゃないか、何をしてもいいだろうってことになったら嫌だなって」

【エドガー】「社長殿はそんなに手段を選ばない方なんですか?」

【ヨハン】「なまじ権力があるだけに。だからまぁ、俺は過程は知らせず結果だけを持って帰りたいんですよ。私刑が入るようなタイミングを作りたくないというか」

思っていたより、ずっとしっかりした考えを持った青年のようだった。

【エドガー】「貴方の望みに応えましょう。俺個人としても、あまり手荒なことはしたくない」

壁に背中を預けていたベルタリウスが、少しだけ鼻を鳴らす。しかしまぁそれだけで、異を唱えることはしない。

散歩に連れて行ってもらえない犬がちょっとだけ退屈さを示すような、そんなささやかな意思表示であった。

【エドガー】「しかし本当に宜しかったのですか? 囮に使わせて頂いて」

打ち合わせが終わり、バルコニーで煙草をふかしているとヨハンくんがやってきたのでそれとなく聞いてみた。

【ヨハン】「オフの時はタメ語で良いっすよ。俺もそんなに畏まりたくないですし」

【エドガー】「そうか、そうする。で、本当に良かったのか?」

【ヨハン】「あ、はい。ライバル会社のバカ息子が引っかかった、って態の方が油断を誘えるかなぁとも思うんで。俺、世間的には跡継ぐ気が全くない放蕩息子ですし」

【エドガー】「別に無理して継がなくてもいいと思うけどな」

俺だって、父が生きていたら大病院の跡取りだったとよく母から聞かされていたが――それはそれで反発していた気がする。

【ヨハン】「俺が辞退したら誰が継ぐのかって問題になりますけど、他の候補にあんま良い印象抱いてないんで。なまじ大きな企業なだけに、妙なことになると困るんですよねぇ。縁切るつもりもないですし」

【エドガー】「立派だなぁヨハンくんは……つーかまともすぎて俺、泣けてくるわ……」

【ヨハン】「まぁ、≪HOUND≫はみんな個性的ですもんねぇ……」

まさか俺の気持ちを理解してくれる人間が現れるとは。目の奥が痛いよ。

【エドガー】「ヨハンくんは吸わないのか?」

【ヨハン】「あんま得意じゃない~っつーか……合わない? んで。ちょっと外の空気吸いに来ただけっス」

【エドガー】「俺、離れたほうがいいか?」

【ヨハン】「いやいや、へーきっス。死にゃあしないですし、別に煙が嫌なわけじゃあないから。一人が外で吸ってるだけなら大したことないですし」

【エドガー】「有難う。すまんな」

【ヨハン】「まぁ女の子には嫌われるかもしんないっスね、煙草の煙。ロルちゃんからやめてよ~とか言われるんスか」

【エドガー】「いや、ベルタリウスがうるせぇ」

【ヨハン】「あの子本当によく分からないですね」

【エドガー】「俺もわからん。倫理観めためたな癖に、健康に悪いから酒は控えめにするし煙草は意味が分からないとか言うぞあいつ……」

【ヨハン】「ロルちゃんは嫌がらない感じ?」

【エドガー】「あいつは煙草の匂い慣れてるからなぁ。ルドも、鼻が利かないから」

【ヨハン】「えっ。犬で鼻が利かないって、よく元気に生きてますね」

【エドガー】「そうだなぁ……普通は鼻が利かなくなると死んでしまう可能性が高いらしいんだが。魔術で味覚というものを錯覚させたり、他の感覚を頼りにして生きられるように色々やったよ」

【ヨハン】「大変だったんスね……」

【エドガー】「いや、ルドが凄かったんだ。犬が鼻を使えなくなるのは相当なストレスなのに、よく耐えてくれたよ」

【ヨハン】「苦楽を共にしてきたって感じっスか」

【エドガー】「あぁ。正直、地下を変えたいっていっても俺やあいつらが暮らしやすい環境にしたかっただけだしなぁ」

【ヨハン】「いやそれ十分すごいじゃないですか。普通はできないっス」

【エドガー】「いや本当は地上に行きたかったんだが、どこぞの畜生がそうはさせてくれなくてな……選択の余地があまりなかったというかだな……」//もしかして:クレス生まれのβさん

【ヨハン】「じゃあ俺と一緒っスね」

にひ、と実に人がよさそうに(実際彼はとても善人である)ヨハンくんが笑う。

【エドガー】「ヨハンくんは好きなことしても良いんだぞ、今からでも」

【ヨハン】「しないっス。もう決めたんで」

【エドガー】「……かっこいいねぇ」

【ヨハン】「エドガーさんもかっけえっスよ。やろうと思えばどこまでも泥沼な選択もできたのに、しねぇんスもん」

【エドガー】「しちゃうと苦しくなるもんなぁ」

【ヨハン】「俺もっス。たぶん、楽な方行ったら後悔する。つーか、した」

【エドガー】「なんかあったのか?」

【ヨハン】「つい最近まで見ないように見ないようにって生きてきて、大学院まで行って、だけど俺って何もしたいことないって思ったら、すげー苦しくなったんですよ」

【エドガー】「……そうか」

【ヨハン】「見ない振りして封じていたものが解凍されてどばーって溢れてきて、なんかもう数年間凝縮した苦しみが来たんスよね。このままじゃ何にもなれないやって思ったら、不安で仕方がなくなって」

【エドガー】「不安になるだけ偉いさ。不安を覚えないまま、なりたいものが分からないまま中年になる奴だっている。この俺みたいに」

【ヨハン】「何かを始めるのに遅すぎることなんてないって、アルフィーネさんが俺にも言ってくれましたよ」

【エドガー】「ありがてぇ。アルフィーネさんの格言、ありがてぇ」

【ヨハン】「まー俺は大学院まで行ったから十分好きなことしてるんスけどねぇ、現在進行形で。もうちょい好きなこともしますよ」

【エドガー】「いいなぁ。俺ももうちょいモラトリアムが欲しかったよ」

【ヨハン】「ないもんは仕方ねぇっス」

【エドガー】「だよなー。はぁ、ロルに酌してもらって飲むか……来るか?」

【ヨハン】「もっちろ~ん! あ、でもベルくんは呼ばないでもらっていいっスか? いやけっして嫌いじゃあないんですが、今夜はちょっと疲れたんで……」

【エドガー】「もう寝たよ。あいつにとって面白いことにならないから、ふて寝」

【ヨハン】「冷めてると思ったら、なんかたまに凄く子どもっぽいっスよね」

【エドガー】「最近分かりやすくはしゃぐんだよなぁ。子ども返り期かも知れん。あいつもあいつで幼少期が至極まともじゃないからな、また公園のブランコを極めだすかも知れん」

【ヨハン】「みんな歪んでるなぁ」

【エドガー】「歪んでない知り合いなんざ、ヨハンくんくらいのもんだよ」

――それは、俺がロルにまともな服(フリフリでめちゃくちゃ高かった。泣けた)をプレゼントしてから暫く経ったある日のことだった。

【エドガー】「よ。何を選択するかは決めたか?」

相変わらずパソコンにべったりなロルに声を掛けると、じろりと視線を投げられた。

こいつはいつもこうだ。何か共同作業をしようとしても、突っぱねて一人で出来る仕事を取る。

俺と親しくしてくれるのは犬ばかり。愚痴を聞いてくれるのも、一緒に寝てくれるのも、風呂に入ってくれるのも犬ばかり。……あれ、これって結構やばくないか?

【ロル】「知らない……わかんない……別に、選ばされるままだって……生きていけるもん……」

【エドガー】「おや~それはおかしいぞぉ? お前は綺麗なお洋服を自分で選んで着ているじゃあないか」

【ロル】「……欲求に選ばされた、だけ……」

【エドガー】「普通は誰もがそうやって選ぶんだよ。着たい服を着て食べたいものを食べ、生きたいように生きるんだ」

【ロル】「……自分だって、ろくにできてないくせに……」

【エドガー】「うんまぁ、それ言われるとホント痛いんだけどな。でも、お前と会話をするのは自分の欲に従って、自分で選んでいることだぞ」

ロルが抗弁する言葉を――失ったのか、会話する労力が惜しいと思ったのか。それは定かではないものの、こちらを無視してキーボードを叩き始めた。

【エドガー】「そういや、あの犬今日はいないんだな。お前らいつも一緒にいるのに」

まだ名前を教えてもらっていないんだが、あいつは良い奴だ。絶えず人に気を配り、慰めてくれる。

俺が差し込んだ言葉に、ロルがピアノを弾くかのように滑らせていた手を止めた。

【ロル】「……? そういえば……今日、見ない……?」

【エドガー】「だよな。どこに居るんだろうと思って探してるんだが」

【ロル】「そっちの部屋で寝てたんじゃ……ないの……?」

【エドガー】「いや。俺はお前の部屋で寝てたもんだとばかり」

【ロル】「……」

無言で、ロルが席を立つ。

【エドガー】「二手に分かれて探すか」

【ロル】「……うん」

珍しく素直に頷く。あの犬はやはり、こいつにとっても大きな癒しになっていたようだ。

 

【ロル】「たいちょー! たいちょおっ! 早く来てぇっ!!」

 

俺が空き部屋を探していると、ロルの聞いたこともないような大声が聞こえてきた。

慌てて部屋を飛び出して、俺を呼び続ける声の方向へと走る。

廊下では、ロルが鼻から血を流す犬を抱いて泣き叫んでいた。

【エドガー】「……これは……」

【ロル】「早く! 早くお医者様呼んでっ!! ルドが、死んじゃう……っ」

【エドガー】「あ、あぁ。下手に動かしたり、処置するなよ? 逆効果かもしれないからな!」

そう言い置いて、俺は闇医者の元へと走った。

確か、密輸用の希少種専門のやつがいた筈だ。犬だってきっと看れるだろう。


……結局、拝み倒して看て貰い、一命は取り留めた。

殺鼠剤を誤って食べてしまったことが原因で、中毒症状を引き起こしてしまったとのことだった。また、後遺症で鼻が利かなくなる恐れは十分にあるらしい。

「でもなぁ、鼻の利かない犬が生きていけると思うかお前? 味覚を失って食欲もなくし、おまけにストレスで死ぬぜ」

「……まぁ俺には関係ないがね。毎度」

闇医者は紙幣を握って去っていき、静寂にはロルの泣きじゃくる声だけが残された。

マットを敷いた床の上に横たわる犬の元に、そっと跪く。苦しげな呼吸を繰り返すものの、それでも生きるのを止めようなんてこいつは考えないのだろう。

それが当たり前だ。生きれる限り生きるのが普通だ。

――だから。

【エドガー】「なぁ、ロル。俺は別にこいつのことなんて何にもわかっちゃいないけど、それでも、こいつを生かせる道を選びたいよ」

【ロル】「……っ、う……」

【エドガー】「ただ傍にいてくれて、懐いてくれて、それだけで十分救われたんだ。恩を返したい。お前も、そうは思わないか」

俺の言葉にロルがこくこくと頷き、はらはらと涙が零れた。

【ロル】「わたし、も……ルドにたくさん……助けて、もらって……寂しいの、まぎれて……だから……」

【エドガー】「……うん。だから、手伝ってくれ。俺も方法を考えるが、お前の知恵や協力だってきっと必要だ」

【エドガー】「はっきりとした意志で、選んで欲しい。ルドを生かしたいと」

ロルが、俯いていた面を上げた。

【ロル】「えらぶ」

【エドガー】「うん」

【ロル】「ルドに、生きていてほしいから」

【エドガー】「分かった。有難う」

【ロル】「ううん……」

ゆるやかに頭が振られ、ふわふわとした髪が揺れた。

【ロル】「……わたしたち、同じクランだもんね……」

――思えばこれが、≪HOUND≫の団結を深める契機だったのかも知れない。

ラスター社の新車発表会の日がやってきた。

 

麻薬込みの車の販売も行われる可能性が高いため、ここでヨハンくんを潜入させる手筈となっている。

俺たちは会場の外に停めた車内で待機である。

【ロル】「ティヒヒ……新しい盗聴器……感度ばつぐん……べーくんの部屋にも……仕掛けたい……」

【エドガー】「仕掛けたところで物騒な音しか聞こえないと思うがなぁ……。今のとこ、普通の新車発表会みたいだな」

ベルタリウスはヨハンくんに同行。ルドは後部座席ですやすや眠っていた。

【ロル】「超小型で超軽量……クリアな音質に大容量……満足ですなぁ……ティヒヒ……」

【エドガー】「お前メカメカしいの好きだな」

【ロル】「頭の悪い言い方だな」

辛辣なことを言う時だけ、ロルは明瞭な口調になる。

まぁ……でも。

【エドガー】「良かったよ」

【ロル】「ん?」

【エドガー】「お前が、そういう風に親しげな暴言吐いてくれるようになって」

【ロル】「ん……」

【エドガー】「いやまぁ、めちゃくちゃ疲れるけど無視とかされるよりはずっといいなって。好きな男もできたしな」

あいつが来てからロルも良い意味で変われたようだ。

【ロル】「自分の欲求に従って……自分でアタックするって選んだ……」

【エドガー】「そうだな」

【ロル】「それが出来るのが、すごく嬉しい」

お。

【ロル】「ありがとう。隊長」

ふわっ、と綺麗に微笑まれた。しかし口調ははっきりとしている。

【エドガー】「……。……お、おう……なんか、照れるな」

【ルドルフ】「わふっ!」

いつの間にか、ルドが前の座席に滑り込んできていた。

【ルドルフ】「わふっ、わふっ!」

嬉しそうに、俺とロルの間を行ったり来たりする。

【ロル】「ルドも……ありがと。これからも、よろしくね」

【エドガー】「あぁ。お前がいてくれて、本当に良かったよ」

【ルドルフ】「わんっ!」

二人でルドルフの頭やら背中やらをモフモフする。

【ヨハン】『……あのー、今いいっスかね?』

【ベルタリウス】『仕事中にホームドラマを展開するとはいい度胸だ。後で家庭崩壊させてやろう』

【エドガー】「あ、お、おう。すまん」

うっかり感動系の空気になっていたのが恥ずかしい。

【ヨハン】『裏の倉庫にあった車、調べてみたらやっぱり中にお粉がありましたんでロルちゃんに写真送っときました』

【ロル】「おう……確認するで……」

ノートパソコンに映された写真を俺も見てみる。座席のヘッドレストをくり抜いた中や、ドアの内貼りを外した隙間、ラジエーターの容器の中などに隠されていた。

【エドガー】「工夫するもんだねぇ……あんまり繰り返しは使えなさそうな場所だが。というか、この短時間にどうやって確認した?」

【ヨハン】『俺の魔眼の能力は透視解析なんで、それで見つけて……で、ベルくんが』

【ベルタリウス】『レントゥスを車に差し込んで、ヨハンくんに位置関係を聞きながら内側から魔術を駆使して開けた。レントゥスを伝って発動する仕組みだな』

【エドガー】「お前らの異能便利だなぁ……って、おい待て。破壊したのか」

【ベルタリウス】『くっ付けたしパッと見では分からんよ、恐らく』

【エドガー】「はぁ……分かった。二人とも、引き上げてくれ」

【ヨハン】『はい……えっ、あ』

ヨハンくんの慌てたような声と、近づいてくる足音で第三者の存在を把握する。

【社長】『おや。バディーニ社のご子息がこんなところに何の御用かな?』

【ヨハン】『……社長さんの方こそー、わざわざ何の御用でしょうかー……?』

【社長】『別に。ベルゴンツィの狗と何をしに来たのかと思ってね。そこの男、調べてみたらジークの側近らしいじゃないか』

【ベルタリウス】『ばれたぁ? わんわん。それでも通してくれたのはヨハンくんがいたからかな?』

【社長】『まぁな。これを機にバディーニ社が失墜すれば、ラスター社の天下だ。うまいこと犯罪者に仕立ててあげよう』

【ヨハン】『お断りっス。それよりあんた、ベルゴンツィにゴマ摺っときながらひどくないっスか」

【社長】『甘ちゃんの腑抜けとなったジークに用はない。地下復興? 青臭すぎる理想だな』

【ベルタリウス】『あぁん?』

【エドガー】「今の、お前が怒るところだったか? 何機嫌悪くしてんだ」

【ベルタリウス】『いや、別に』

【社長】『しかし、たった二人とは無謀だな。外の車に居るお仲間のことも把握済みだ、まとめて消えてもらう』

【エドガー】「ほう」

外を見ると、黒服の男たちが周囲を取り囲んでいた。

【エドガー】「ロル。お前のWSS、この前カスタマイズしたよな」

【ロル】「うん……シャッチョさんも……魔弾買い込んでたよね……」

【エドガー】「こういう時のためにな。ルド、お前は自前の牙で行けるな?」

【ルドルフ】「ばうわう!」

【エドガー】「ベルタリウス、オーダーだ。存分に暴れてこい」

【ベルタリウス】『わん!』

愛銃に魔弾を装填し、車外へ。

【エドガー】「俺は、理想のために道理をある程度無視しようと思う。例え、障害物を蹴飛ばして出来たただの隙間だとしても――」

構えて、引き金を引く。

【エドガー】「――道は、道だ」

そして、後日。

【ヨハン】「お疲れ様でした~いや、俺あんま役に立ってないけど……」

本部にて、ささやかな祝勝会めいたものを開いた。

マスコミと警察にタレコミを行った結果、ラスター社は社会的な制裁を加えられ事業を停止する運びとなったのだ。

【エドガー】「ヨハンくんがいてくれなかったら門前払いだったよ。感謝する」

【ヨハン】「いやーあははは、なら良かったんスけどね」

【ロル】「よしよし……♪ よく頑張ったね……ママがい~っぱい褒めてあげる……♪」

【ヨハン】「ママぁ――ッ!!!!」

【エドガー】「ロル、号泣させるのやめろ。というかヨハンくんはなぜに号泣するんだ」

【ベルタリウス】「言わせんなよ恥ずかしい。男のデリケートな部分なんだよ」

【エドガー】「俺が恥ずかしいのはお前だよ。存分に暴れろとは言ったが隠蔽工作のことも考えろ」

【ベルタリウス】「えっ……!? か、勘違いしないでくれる!? べ、別に新しい魔術式試してみたかったとかじゃないんだから! 大量殺人犯なんかじゃないんだからねっ!?」

【エドガー】「うぜぇ~~」

【ヨハン】「あ、そうだ。スポンサーなんですけど、まだ募集してます?」

【エドガー】「うん? そりゃまぁ、まだまだ足りんと思っているが」

【ヨハン】「だったら、うちが立候補してもいいっスかね。親父もお礼がしたいと言ってるし、俺も支援をしていきたいので」

【ルドルフ】「わふ!?」

【エドガー】「それは……有難い限りだが。いいのか本当に?」

【ヨハン】「はい。どーせなら、良いことして生きていきたいっスよね」

【エドガー】「ヨハンくん……」

【ベルタリウス】「わぁい、カモネギで金づるだ。予定通りだ。やったね」

俺は、無言でベルタリウスに肘鉄を喰らわした。

【エドガー】「お前ももっと媚びを売れ。失礼な口を聞くな」

【ベルタリウス】「失礼しましたヨハン様。お靴を食べましょうか?」

【ヨハン】「舐めるんじゃないんだ……ただ迷惑で気が狂ってるだけだ……いつも通りでいいっスよ。フツーに接してくださいな」

【ロル】「良い子……良い子……♪ ママ嬉しい……♪」

【ヨハン】「うわぁーーーーーーん!!!!」

【エドガー】「いや情緒不安定すぎるだろ」

【ベルタリウス】「まぁいいじゃないか。これからも安泰ってな。なぁルド?」

【ルドルフ】「わふっ♪」

ルドが機嫌良さげに鳴き、ベルタリウスが穏やかな目をして頭を撫でる。

号泣するヨハンくんをロルは優しく包んでやり、俺は浅く溜息をついた。

このうんざりするような和やかな光景を、末永く守りたいと思いつつ。
 

【制作スタッフ】(敬称略)
シナリオ:無銘774
校正:Qm(http://overcook.but.jp/)
シナリオアドバイス:ぽてと

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